──介護美容の視点で見る「やさしい肌のしくみ」と寄り添い方
「お母さん、最近お顔がカサカサしてるね」
「顔を拭くと痛がるの」
ご家庭でそんなことを感じたことはありませんか？
介護をしている方から、よく「年を取ると肌が弱くなるのは仕方ないですよね」と言われます。
けれど、それは“年齢のせい”だけではありません。
肌は、毎日の触れ方・洗い方・保湿のタイミングなど、
小さな積み重ねでどんどん変わっていくのです。
私はPOLAのエステティシャンとして長年お客様の肌に触れ、
そして今、「介護美容サロン和み彩」を通して高齢者の方々の肌をケアしています。
その中で感じたこと——
高齢者の肌は、“知識”よりも“思いやり”で守られる。
本記事では、「高齢者の肌がどのように変化するのか」、
そして「なぜやさしい触れ方が大切なのか」を、専門用語を使わずにわかりやすくお伝えします。
加齢とともに変わる「肌のしくみ」
人の肌は、おおまかに「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造になっています。
そのうち表皮の最外層にある「角質層」は、うるおいを保つ“壁”のような役割。
しかし高齢になると、この壁の厚みと弾力が減り、
外の刺激（摩擦・乾燥・雑菌など）から守る力が弱くなります。
💧皮脂と水分の減少
汗腺や皮脂腺の働きが衰え、肌を守る天然の油分が減少。
これにより、肌が乾燥しやすくなり、粉をふいたり、かゆみが出たりします。
🌿ターンオーバー（新陳代謝）の遅れ
若い肌は約28日周期で生まれ変わりますが、高齢になると約45日〜60日に。
古い角質が残ることで、くすみやゴワつき、バリア機能の低下を招きます。
❄️血流・代謝の低下
冷えや筋力低下で血流が悪くなると、肌の温度が下がり、
再生力や保湿力が落ちます。
高齢者の肌は“薄くて敏感”
肌が薄くなると、わずかな摩擦でも赤みや痛みを感じます。
「顔を拭かれるのが嫌」と感じる方も多いのは、
刺激を“痛み”として感じてしまうからです。
介護現場で見かけるタオルや清拭の力加減も、
実は「その人の一日の心地よさ」を左右するほど大切なポイントです。
間違った「清潔ケア」がトラブルを招く
現場では、“清潔第一”の意識が強いあまり、
結果的に肌を傷めてしまうケースがあります。
よくある誤解 実際は…
石けんでしっかり洗うのが良い 汚れだけでなく、保湿成分まで奪う
熱いお湯のほうがさっぱりする 皮脂膜を破壊し、乾燥を悪化させる
タオルで強く拭く 摩擦で角質を傷つけ、赤み・ヒリつきを招く
つまり、
「清潔にすること」と「肌を守ること」は、必ずしも同じではありません。
“やさしい清潔”こそが、介護美容でいう「守りのケア」なのです。
“触れ方”が変わると、肌も心も変わる
介護美容では「触れること」をとても大切にしています。
肌は、外から触れられることで脳や神経が安心を感じる器官。
たとえ短い時間でも、
手のひら全体で包むように触れると、
呼吸が深くなり、表情がやわらぐ方が多いのです。
この“心地よい刺激”が、血行や自律神経にも良い影響を与えます。
つまり、「触れること＝美容であり、ケアであり、心の支援」でもあるのです。
観察の目をもつことが“予防”になる
肌トラブルの多くは、早めに気づけば防げます。
チェックしてほしいポイントは以下の3つ：
1. 色：赤み・くすみ・黒ずみが出ていないか
2. 触感：カサカサ・熱感・冷たさがないか
3. 反応：痛がる・かゆがる・触れられるのを嫌がる
毎日の清拭やお手入れの中で、
「昨日と違うかも」と感じたときが、ケアを見直すサインです。
介護美容がめざすもの
介護美容の目的は、単に見た目を整えることではありません。
肌を守り、触れられることを通して“その人らしさ”を支えることです。
和み彩では、フェイシャル・ハンド・ネイル・フットケアを通じて、
「安心して触れられる時間」をお届けしています。
肌の乾燥が落ち着いた
顔を上げて笑顔が増えた
「また来てね」と言ってもらえた
そんな変化こそが、介護美容の一番の成果です。
高齢者の肌を守ることは、
“身体をきれいにすること”ではなく、“心を整えること”。
清潔・保湿・触れ方をほんの少し見直すだけで、
その人の一日が変わります。
介護美容は、その小さな変化を積み重ね、
「笑顔のある暮らし」を育てていくケアです。
▶ 在宅介護で知っておきたいスキンケア方法（実践編）
▶ 施設導入で生まれる“美容レク”の時間（第4章）
介護美容サロン 「和み彩（なごみいろ）」 では、
ご自宅・施設へ訪問してスキンケアやネイル・ハンドトリートメントを行っています。
📍対応エリア：富士見市・ふじみ野市・志木市・三芳町・さいたま市ほか
💬料金目安：個人訪問 5,000円〜、施設導入プランあり
👣サービス：フェイシャルケア・ハンドケア・水性ネイル・爪切り・足ケア
「肌が乾燥してつらそう」「施設でケアを取り入れたい」
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
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